季節が深まり、涼しい風が吹き始める秋。

人肌が恋しくなる秋。

ご自宅にお花を飾る際も、色や素材に少し工夫を凝らすだけで、窓の外の景色と響き合うような、温かみのある「秋らしい雰囲気」を演出できます。

お花屋さんとして、誰でも簡単に実践できる「秋らしさ」をプラスする3つのテクニックをご紹介します。

1. 「色」のトーンを深める【シックな暖色系を選ぶ】

春や夏のような鮮やかで明るい色(ビビッドカラー)ではなく、落ち着いた、深みのある暖色系を選ぶことが、秋らしさを出す最大の秘訣です。

秋らしい色のトーン選び方のヒントおすすめの花材
深紅・ボルドーワインや紅葉を思わせる深い赤赤バラ(品種による)、ケイトウ、ダリア
テラコッタ・オレンジ土や焼き菓子のような温かい色オレンジのガーベラ、バラ、観賞用トウガラシ
くすみピンク・ベージュ優しいトーンで、アンティークな雰囲気トルコギキョウ、アジサイ(秋色)、リシアンサス
モスグリーン・ブラウン落ち葉や森を連想させる渋いグリーンユーカリ、紅葉したドウダンツツジ、実もの

Google スプレッドシートにエクスポート

ポイント: 全体を暗い色でまとめすぎず、クリーム色や淡い黄色をアクセントとして加えると、深みの中に温かい光が灯ったような、バランスの取れた秋の雰囲気が生まれます。

2. 「素材」にこだわる【実もの・枝もの・穂ものを加える】

秋は、お花だけでなく、植物が実をつけ、色づき、収穫を迎える季節です。ブーケやアレンジメントに「実もの」「枝もの」「穂もの」を加えるだけで、一気に季節感が増します。

  • 実もの(収穫の豊かさ): バラの実(ローズヒップ)野バラの実姫リンゴシンフォリカルポス(真珠のような実)観賞用トウガラシなど。これらの実が入るだけで、秋の豊かさや温かい雰囲気が演出できます。
  • 枝もの・葉もの(自然の移ろい): 紅葉したドウダンツツジモミジ渋い色に変化したユーカリなど。紅葉した葉のグラデーションは、お花では出せない奥行きと季節感を表現してくれます。
  • 穂もの(静けさと侘び寂び): パンパスグラスススキドライになった麦の穂など。ふわふわとした穂ものを加えると、日本の秋らしい静けさや、風を感じる優しい雰囲気が生まれます。

3. 「花器と場所」を工夫する【陶器や光の演出】

生ける「器」や「場所」を変えるだけで、お花の見え方は大きく変わります。

  • マットな陶器やガラスの花器を選ぶ: クリアなガラスよりも、陶器アンティーク調のざらっとした質感の花器を選ぶと、重厚感と温かさが加わり、秋のシックな雰囲気に合います。**くすんだ色合い(グレーや茶色)**のものが特におすすめです。
  • キャンドルや間接照明のそばに置く: 秋は日が短くなるため、光の演出が重要です。お花を飾るそばにキャンドル暖色系の間接照明を置くと、影と光のコントラストが生まれ、花の色が一層深く、温かく見えます。
  • ドライフラワーも活用する: 秋は湿度が下がり、ドライフラワーを作りやすい季節です。スワッグ(壁飾り)やリースにして飾ると、アンティークで落ち着いた秋らしいインテリアになります。

この秋は、深みのある色を選び、実ものや枝ものを取り入れ、花器の質感にこだわることで、あなたの部屋に心安らぐ秋のムードを呼び込んでみませんか!