深まりゆく秋の魅力を最大限に引き出してくれるのが、色鮮やかな「実もの」です。

お花が主役の春や夏とは違い、秋のアレンジは、実ものや枝ものの豊かな質感とグラデーションが鍵を握ります。

お花屋さんの視点から、いつものアレンジを一気に秋めかせる、実ものを使ったアレンジのテクニックをご紹介します。

1. 実ものを選ぶ!秋の雰囲気を決めるキーマテリアル

「実もの」といっても種類は豊富です。

演出したい秋のムードに合わせて、質感や色を選びましょう。

種類特徴と魅力演出できる雰囲気
シンフォリカルポス白やピンクの小さな丸い実。真珠のような可愛らしさ。繊細で上品、可愛らしい秋
野バラの実(ローズヒップ)鮮やかな赤やオレンジ色の実。枝ぶりがワイルド。ナチュラル、カントリー風、収穫祭の賑やかさ
観賞用トウガラシ紫、赤、黄などのカラフルな実。ユニークな形。ポップ、ハロウィン、個性的なアレンジ
姫リンゴ小さくて可愛い本物のリンゴ。重厚感と可愛らしさ。豊かさ、温かみ、テーブルコーディネートの主役
ワレモコウ小さな赤黒い穂のような実。野趣あふれる雰囲気。和モダン、侘び寂び、シックな秋
フウセントウワタトゲトゲした袋状の大きな実。ユニークで楽しい。ハロウィン、ミステリアス、遊び心

2. 「配色の工夫」深みのあるグラデーションを作る

実ものを引き立てるためには、お花と実ものの色のコントラストや、トーン(色調)の統一感が重要です。

  • シックなトーンで統一する:全体を「くすみカラー」でまとめると、一気に洗練された秋のムードが生まれます。例えば、深紅のダリア(花)に、濃い茶色のワレモコウ(実もの)、紅葉したユーカリ(葉もの)を合わせると、重厚感のあるエレガントな仕上がりになります。
  • 実ものの色をアクセントにする:アレンジのメインをベージュや白などの落ち着いた色にしたら、ローズヒップの鮮やかなオレンジや、姫リンゴの赤を散らしてアクセントにします。これにより、実ものが「収穫の喜び」を象徴する、生命力あふれるポイントになります。
  • ハロウィンカラー(オレンジと黒)を意識:オレンジ色のカボチャと、黒や濃い茶色の実もの(例:野ブドウの房、野バラの実の枝)を組み合わせると、手軽にハロウィンの雰囲気を演出できます。

3. 「空間と動き」を意識した生け方

実ものは、枝の向きや実のつき方が個性的です。この特性を活かすと、アレンジに躍動感が生まれます。

  • 高低差をつける:枝ものを生かすため、お花の間に背の高い花(例:ススキ、紅葉したドウダンツツジ)を挿し、高さを出すことで、アレンジ全体に立体感と奥行きが生まれます。
  • 「流れ」を作る:実ものは、まっすぐではなくカーブしているものが多いです。その枝の自然な流れを崩さずに生けることで、まるで自然の風景を切り取ったかのような、野趣あふれる「動き」が表現できます。
  • お花を「引き立て役」にする:秋のアレンジでは、お花(バラやトルコギキョウなど)を中央に密集させず、実ものや葉ものの間にゆったりと配置します。これにより、主役である実ものや枝ものの存在感が際立ち、より「秋らしい」自然な仕上がりになります。
  • 秋の実もので欠かせないもの:ツルウメモドキ、ウメモドキ、ムラサキシキブ、野ばら、ローズヒップ、野ブドウ、ヒペリカム

実ものは、ドライになっても長く楽しめるものが多いので、秋の始まりから終わりまで、その変化を長く楽しむことができるのも魅力の一つです。

ぜひ、今年の秋は実ものをたっぷり使って、豊かで温かいアレンジメントに挑戦してみてください。